難病とはどんな病気を指すのか?

原因不明で根治が困難、治りにくい病気や不治の病や後遺症を残す病気と言うイメージがあると思います。
難病指定疾患や特定疾患と呼ばれる病気ですが、実際にはどのような病気を難病指定疾患や特定疾患と呼んでいるのでしょうか。

難病とは次の要件に該当するものと定義されています。
発病の機構が明らかでないもの、希少な疾病であること、患者数が人口の0.1%未満であること、治療の方法が確立していないもの、長期の療養を必要とするもの、客観的な診断基準が確立されていることという、これらの条件に当てはまらなければなりません。

これらの要件をみたす疾患のうち特定医療費助成の対象となるのは、平成29年4月の時点では330疾患あります。
この330疾患のことを指定難病や特定疾患と呼ばれています。

指定難病になると、医療費が無料になると思っている人も多いようですが、生活保護の人以外では無料にはなりません。
指定難病と診断されて、厚生労働省が定める基準を満たした場合は、その疾患の治療にかかる医療費(特定医療費)が助成されます。
この制度を特定医療費助成制度や難病医療費助成制度と言います。

この制度を利用するには、申請を行う必要があります。
担当医に、臨床調査個人票という書類を作成してもらわなければなりません。
しかし、この書類を作成できるのは指定医になっている医師だけです。
専門外の医師では作成できないこともあります。
自治体によって多少の違いはありますが、A4で6~10枚もの書類となります。
医師は1人あたり10分以上もかけてこの書類を作成しなければなりません。

医師が書類を作成したら、保健所や役所に届け出ます。
その後審査があり、審査に通れば助成の対象となります。
助成対象者の患者の負担割合は、2割です。
一般的な健康保険の場合は3割負担なので、1割の軽減となります。

助成額は収入によって差があり、一般所得IIで年収がおよそ370万~810万円の人は、高額長期の人は1か月の支払限度額は1万円、一般と判定された人は2万円の限度額です。
一般の人は1ヶ月2万円までは何とかして支払ってください、と言うことになります。
助成があるとはいえ、高額の医療費を払い続けることになります。
尚、入院時の食事代や差額ベッド代、おむつ代、介護療養施設サービスにおける居住費や食費や日常生活費、装具作成業者と契約して作成した装具などは難病医療助成の対象にはなりません。
これらが高額負担となる場合もあります。

また、審査に通らず高額な医療費を払い続けなければならないケースもあります。
「もっと悪くなれば経済的には楽になるのか」とため息をついている患者さんもいるのが現状です。

遺伝性が主な希少疾患

治りにくい病気や完治が困難な病気、原因不明で不治の病などというイメージが付きまとう難病指定疾患ですが、その中には遺伝性の疾患もあります。
もしもあなたが、日本には7人しか患者さんがいない病気で世界中でも100人程しか患者さんがいない病気になったと告げられたら、どんな気持ちになるでしょうか。

2017年の春から難病指定疾患となった病気の一つに、AADC欠損症という病気があります。
10年前は2家族3人しか患者さんがいない、治療が困難な不治の病で後遺症を残す可能性も高い病気でした。
3人とも、ほとんど寝たきりの状態でした。

この病気は芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(AADC)が欠損している、常染色体劣性遺伝性疾患です。
AADCは、ドパミンやセロトニンを合成するためには必須の酵素です。
ドパミンやセロトニンは別名、「幸せホルモン」とも呼ばれているため、AADC欠損症の患者さんの特徴の一つに非常に不機嫌という症状があります。

AADC欠損症は生後1カ月以内に発症して、眼球が上転する発作や全身を硬直させるジストニア発作が見られることから、脳性麻痺だと片づけられているケースもあるようですが、非常に不機嫌だという症状が鑑別のポイントの一つだと言われています。
脳外科手術になりますが遺伝子治療によって、寝たきりの子が歩けるようになるまで回復できるようになりました。

AADC欠損症は日本で7人、世界中でも100人しか患者がいない非常に稀な疾患のために難病指定疾患となりました。
逆に難病のほとんどの条件を満たしているにもかかわらず、患者数が多いことから難病指定疾患とはならずに助成制度がない疾患もあります。

関節リウマチの患者さんの中には、毎月4万~5万円の治療費を支払っている人も珍しくありません。
関節が破壊されて寝たきりになっている人もいます。
しかし、関節リウマチの患者数は、およそ60万~70万人と推計されています。
患者数が多すぎることから、難病指定疾患にはなっていません。
7人の希少疾患もあれば、70万人も患者がいるために特定疾患や難病指定疾患とはなっていない、根治が困難な病気もあります。